近年、大学を卒業後、企業に就職せずにアルバイトで生活するフリーターの存在が、さほど珍しいものではなくなってきています。定職に就かないという彼らの選択に対し、「これからの日本はどうなるんだろう」と行く末を憂う声も聞かれます。しかし、私はこの論調に異を唱えたい。本当に我が国の将来を担う若い力は育っていないのだろうか。私は、自分の将来についてじっくりと考える人が増えてきているのだと思います。真剣に考えているからこそ、物事を決断するのに時間がかかる。人生の大半の時間を費やすことになるのだから、仕事選び・会社選びに慎重になるのはごく自然なことです。
人間の価値観はさまざまです。会社の知名度や規模といった基準で会社を選ぶ人もいれば、自分はこの会社に入ったら何ができるのか、具体的な仕事内容を重視する人もいます。そういう人たちが、アルバイトや派遣社員として企業を体感してみるのは意義のあることだと思います。実際にどのような職場で、どのような人々が、どのように働いているのかを身を持って体験する。そこで、自分に足りない能力があると実感すれば、そこを勉強し直してから就職することもできる。それは決して回り道ではない、必要な時間であると私は考えています。
いま、社会から、ともすれば冷ややかな視線を投げかけられているフリーター、あるいはニートと呼ばれる人たち。しかし、私たちの想像以上に、成長への意欲に満ちている若い人が多くいます。私はこうした人材にも熱く注目していきたい。私が彼らに対して願うのは「読書人たれ」ということ。電子メディアの発達・普及は、人の読書スタイルを変えました。文章を深く読み込むことよりも、手早く情報を得ることに関心がいき、その結果、思考が平坦かつ淡白なものになっている気がします。最近の大学教育の見直し論議を含めて、教養に対する関心が高まっている背景には、こうした危機感があるのではないでしょうか。
インターネットは情報収集の面では大きな武器となりました。しかし、単に情報を集積するのでは不十分です。深く読み、考えることをしなければ、独創性は育まれない。だからこそ「読書人たれ」。判断力、洞察力、総合力、大局観を身につけてほしい。そんな大志を抱いて、社会に羽ばたいてほしいと願います。
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